委員長: 佐川 貢一 (弘前大学), 副委員長: 昆陽 雅司 (東北大学), 幹事: 衣川 潤 (東北大学)
(2019/12/25更新)
講師: 大日方 五郎(中部大学大学院 工学研究科 教授)
人の体は、厳密な意味では剛体リンク系として表すことはできない。いろいろな所に柔らかさを持っているからである。人の体の持つ柔らかさをまねすることができれば、ロボットに作り上げ、今までの剛体リンク系のロボットより人の動作に近いものが実現できるのではないかと考えられる。これは、近年盛んに研究されるようになった「ソフトロボティクス」の動機の一つである。本講演では、人の柔らかさはその組織だけではなく、骨格系の運動自由度の多さからも生み出されていることを指摘し、そこから生まれる「ソフトロボット」設計のポイントを解説する。
講師: 長縄 明大(秋田大学大学院 理工学研究科 教授)
「必要なものが、必要なときに、必要なだけ手に入り、誰もが活き活きと快適に暮らせる社会」、これが超スマート社会です。超スマート社会は、Society 5.0に位置付けられており、日本が目指す未来の社会像です。本講演では、この超スマート社会の概要や、それを構築していくための技術であるICTやIoT、AI、ビッグデータなどについて概説します。また、2015年9月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)と最新テクノロジーとの関わりなどについても概説します。
講師: 亀崎 允啓(早稲田大学 准教授)
ロボットシステムの仕様やその適用環境に応じて,マニピュレーションに求められる性能は異なると考えられます.本講演では,生活支援ロボット,建設機械,災害対応ロボット,工場内産業用ロボットなど,さまざまなロボットシステムにおけるマニピュレーション研究開発事例をハードウェア・ソフトウェアの両面から紹介します.これらの適用事例をもとに,これからのロボットマニピュレーションについて議論したいと思います.
講師: 小澤 隆太(明治大学 教授)
ロボットハンドは多くの関節を持つが、小さい筐体のために全ての自由度を独立に駆動させるモータを搭載することが難しいため、適切な動きに減らす設計技術が必要となる。また、把持・物体操作を適切に行うには多くの自由度を連動させる制御技術が重要となる。ここでは、ロボットハンドの実質的な自由度を適切に減らす伝達系の設計に関する技術とロボットハンドの物体操作に関する安定化技術について概観する。
講師: 遠藤 玄(東京工業大学 准教授)
細径・軽量でなおかつ全長10mを超えるような超長尺多関節アームが実現できれば,橋梁やトンネル,工場プラントなどのインフラ検査に有用である.特に日本の国家的喫緊の課題である福島第一原子力発電所の廃炉作業においては,各種調査に超長尺アームが有効である.片持ち構造の長尺アームを構成する際,最も困難であるのが,根元関節部分に働く自重による巨大なモーメントを如何に支えるか,という問題である.重力に対してどのようにして抗うか,とも言い換えられよう.本講演では,これらを解決する超長尺多関節マニピュレータの構成法を複数紹介するとともに,各々の試作機について紹介する.特に化学繊維ロープを用い,複数関節を干渉駆動することで自重によるモーメントを分散して支えることで,全長10m可搬質量10㎏を達成した試作機Super Dragonについて開発の過程を詳細に解説する。
講師: 細田 耕(大阪大学 教授)
体性感覚とは,生理学・医学用語で皮膚感覚,深部感覚など,自身の状態についての感覚を指す.エージェントの身体が硬い場合,体性感覚は,身体に関する情報のみを得ることになり,環境を観測するためには改めて別の「外界センサ」を使う必要がある.一方で,身体が柔らかいソフトロボットの場合,環境の情報は,身体ダイナミクスとのインタラクションを介して,これらの体性感覚から得られる.これがソフト体性感覚受容であり,ロボットを適応的にするために重要な役割を示す.本講演では,このようなソフト体性感覚受容について,ソフトロボットに関するいつくかの例題に触れながら,その有効性と今後の展望について考える。
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衣川 潤 (第1地区委員会幹事)
〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-01
東北大学大学院工学研究科
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